Technology 技術紹介

用語集

  • 遺伝子治療 いでんしちりょう gene therapy

    遺伝子治療は、遺伝子の異常や疾患に対処するために行われる治療手法で、患者の体内に遺伝子を導入または修正することを目的とします。これにより、異常な遺伝子の機能を正常に戻したり、新たな機能を導入して治療の効果を向上させます。がんや遺伝性疾患などへの応用が進み、個別化された医療の一環として注目を集めています。
  • ex vivo遺伝子治療 エクスビボいでんしちりょう ex vivo gene therapy

    ex vivo遺伝子治療は、患者の細胞を体外で遺伝子修飾し、その後再び患者に戻す治療手法です。まず患者から採取した細胞(通常は免疫細胞や幹細胞)に目的の遺伝子を導入し、細胞が特定の機能や抗がん作用を発揮するように改変します。その後、修飾された細胞を増殖させ、患者に再移植します。ex vivo遺伝子治療は、がんや遺伝子異常に対する個別化された治療法の開発に寄与しており、患者の細胞を使用するため免疫適合性の問題を軽減できます。
  • 血液脳関門 けつえきのうかんもん blood-brain barrier(BBB)

    血液脳関門は、中枢神経系(脳や脊髄)を循環血液から守る重要なバリアです。この関門は、特殊な血管内皮細胞により形成され、脳に有害な物質や微生物が侵入するのを防ぎます。同時に、必要な栄養素や酸素は通過させ、脳内の安定した環境を維持します。血液脳関門の存在は、脳保護の観点から重要であり、神経科学や脳疾患の研究において理解が進められています。薬物が脳に到達する際にも制約となるため、医学やバイオテクノロジーの分野では、血液脳関門を乗り越える新しい方法や治療法の開発が注目されています。
  • ゲノム編集 ゲノムへんしゅう genome editing

    ゲノム編集はCRISPR-Cas9などの技術を用いて生物の遺伝子を変更する手法で、遺伝子の研究や治療法の開発に革新をもたらしています。これにより、疾患の原因となる遺伝子変異を修正し、難治性疾患への治療法が期待されています。ゲノム編集の利点は、遺伝子の欠陥や病気の原因となる変異を修正し、正常な遺伝子機能を回復させることができる点です。これにより、遺伝子療法や治療薬の開発が進み、難治性疾患の治療への新しい展望が広がっています。
  • 自殺遺伝子療法 じさついでんしりょうほう suicide gene therapy

    自殺遺伝子治療は、がん細胞を標的にする革新的な治療法です。これにより、がん細胞に特異的に導入された遺伝子が活性化し、がん細胞が自ら死滅するよう誘導されます。これによって、周囲の正常な細胞にはほとんど影響を与えず、治療の精度が向上します。自殺遺伝子治療は効果的かつ選択的で高い安全性が期待できるため、将来的にがん治療の新たな手法として広く利用される可能性があります。
  • 神経幹細胞 しんけいかんさいぼう Neural Stem Cells (NSCs)

    神経幹細胞は、神経系細胞に分化する潜在能力を持つ細胞です。これらの幹細胞は未分化の状態で存在し、脳や神経組織の損傷が生じた際に神経細胞やグリア細胞などに分化することができます。神経幹細胞は神経系の機能と構造を維持・修復する重要な役割を果たし、特に脳や脊髄の損傷や神経変性疾患の治療において注目を集めています。これらの細胞を活用した研究は、神経再生医療の進展や神経疾患の治療法の開発に寄与しています。
  • 多能性幹細胞 たのうせいかんさいぼう pluripotent stem cells(PSCs)

    多能性幹細胞は、体内で様々な種類の細胞に分化する能力を持つ細胞です。これらの未分化の幹細胞は、必要に応じて心臓、脳、筋肉など異なる組織や器官の細胞へと変化できます。その特性から「万能細胞」とも呼ばれ、医学や再生医療の分野で注目を浴びています。多能性幹細胞を活用した再生医療では、iPS細胞(人工多能性幹細胞)とES細胞(胚性幹細胞)の応用が進展しています。
  • ケモカイン chemokine

    ケモカインは、免疫応答や炎症反応に関与するタンパク質で、特定の細胞を引き寄せます。細胞間の相互作用を制御し、感染や損傷部位に免疫細胞を誘導します。ケモカインは体内で放出され、受容体に結合して細胞に信号を伝えます。正確な調節が重要で、異常な発現は炎症性疾患やがんの進展に関与する可能性があります。
  • プロドラッグ prodrug

    プロドラッグは、生体内で酵素や化学反応により活性な薬物に変換される前段階の薬物です。通常、プロドラッグは安定性や経口摂取のしやすさを向上させ、副作用を減少させるために設計されます。生体内で変換され、本来の薬物へと変化することで、効果的な治療を実現します。
  • CD-UPRT融合遺伝子 シーディー・ユーピーアールティーゆうごういでんし CD-UPRT fusion gene

    CD-UPRT融合遺伝子は、Cytosine Deaminase(CD)遺伝子とUracil Phosphoribosyltransferase(UPRT)遺伝子が結合した遺伝子構造を指します。CD遺伝子はシトシンを変換する酵素をコードし、UPRT遺伝子はウラシルをウラシルモノリボヌクレオチドに変換する酵素をコードします。この融合遺伝子は、がん治療などの研究で利用され、特にプロドラッグ活性を有するため注目されています。CD成分はシトシンを有毒な代謝物に変換し、UPRT成分はこれを利用可能な活性代謝物に変換します。がん細胞内でこれらの酵素が協力して活性化され、補完的な代謝経路が形成されます。治療では、特定のプロドラッグを投与し、CD-UPRTががん細胞内で活性化され、がん細胞に対する選択的な毒性を引き起こします。このアプローチは、がん治療の革新的な手法として研究され、がん細胞を標的とした効果的かつ安全な治療法の開発に期待されています。